さて、ネタ切れを起こす心配のないテーマ、本の話に参ります(笑)
最初はやはり、好きな作家さん、ということで始めたい。
私が海外翻訳のなかでいちばん好きな作家は、イギリスが誇るストーリー・テラー、
ジェフリー・アーチャー氏である。
大学時代、たぶん古本で買ったんだと思う「百万ドルを取り返せ!」が最初の出会いで、
このストーリーがもう、メチャクチャ面白かったのである。
原題は 「NOT A PENNY MORE , NOT A PENNY LESS」。
「1ペニーも多くなく、1ぺニーも少なくなく」、何をするかというと、
「信用詐欺」を男4人で実行するのである(笑)
とはいえ、これは「仕返し」の話。
最初は悪役のほうが株式詐欺で、100万ドルちょっとを、4人の客から奪うのだ。
北海で石油を試掘して掘り当てた、という偽の秘密情報を流し、
悪役はまったく表舞台に出ることなしに、
ペーパー会社の株式を、株価をつり上げつつこの4人に売り抜き、儲けてしまう。
で、まんまとペテンにかけられた4人の男たちは、真の黒幕の存在を知り、
それぞれ、だまし取られた金額をきっちり同額、取り戻す計画を立てる。
皆で協力し、さまざまな智恵で詐欺を働いて、悪役をだまし返すのだ。
しかもその4人の職業というのが、数学教授、医者、画商、貴族とバラバラ。
それぞれ、自分の得意分野を生かした計画を練って、詐欺を仕掛けていく様子が
スリリングだったり、「上手い!」と、思わず座布団を差し上げたくなったり(笑)。
ちょっとした恋愛話も絡み、最後にはどんでん返しもアリの、
かなり起伏に満ちたストーリーになっている。
つまりは起承転結の組み立てが、アーチャー氏はと~っても!(笑)お上手なのだ。
しかもこれが彼の処女作で、借金返済のために頑張って書いたらしいから、
人ってすごいなあ、と思える。
実際、彼は、政治家になるわ、詐欺でお金を失うわ、スキャンダルでなんと服役もするわ、
なんだかんだ、かなり波瀾万丈な人生なのだけれど(^^;)、
それを見事にすべて! 小説のネタにしてしまっているのである……スゴすぎるぜ(^^;)
どの小説も「緻密な構成」「つい読み進めてしまう展開」がきっちり、詰め込まれているし、
しかも「年代記風物語(サーガ)」、「ミステリ-」、「短編集」の3種類を、
必ずその順番で書いていくことをずっと守っている。
最近、ノンフィクション風のものが間に1つ、はさまったけれど、これは例外でしょう。
そして翻訳の永井淳さんがこれまたもう! しっかり面白さを掴んでくれていて、
文章もお上手なので、サクサク読めるのだ。
でも残念ながら2009年、「遙かなる未踏峰」の訳を最後にお亡くなりになられ……(ノ_・。)
2作前から戸田裕之さんに変わって、
盛り上がりっぷりが少し、欠けたように思えるのが唯一、残念だ。
永井さんから引き継いだプレッシャーは大きいと思うけれど、切磋琢磨しておくれ~(^^;)
てなことで、はい、もう何度読み返したかわからない「百万ドルを取り返せ!」と
「ケインとアベル」、タイトルからして「おお!」な数年前の作品「誇りと復讐」あたりを、
amazonでリンクさせておきます。ええ、ここはアフィリエイトなしで(笑)
ぜひぜひ、どうぞ! 買って損はさせませんよ、お客さん!(爆)
古本屋さんなどでも、もちろんいいと思います~ヽ(^o^)丿
「百万ドルを取り返せ!」 新潮文庫 ¥746(頭良すぎる人3名+呑気な人1名のコン・ゲーム。デザイン、新装版になってました……)
「ケインとアベル」(上) 新潮文庫 ¥830(下巻はこちら。
イギリスならでは、ロミオとジュリエット系恋愛も含む(笑)、2人の張り合う男の人生! 一大絵巻。続編がなぜか現在、絶版してるよぅ
「誇りと復讐」(上) 新潮文庫 ¥830 下巻はこちら。自動車修理工、ダニーの波乱な運命……ひどい、ひどすぎるぜ!でも頑張る! 最後は爽快(笑)なサスペンス)